2015年1月11日日曜日

アンコール遺跡群へ(3)ー東バライ周辺

シェムリアップ滞在2日目はアンコールワット周辺の遺跡巡りです。行程はまずアンコールトムの北大門を抜けた先にあるプリア・カン。次に東へ移動して湖の中の寺院であるニャック・ポアン。そこから少し南に下がって東メボン。その南隣りのプレ・ループ。スラ・スランの池のほとりにあるレストランで昼食。午後はレストランから西に向かってアンコールトムに帰る途中にある、映画「トゥームレーダー」にも出てきたタ・プローム寺院。そしてアンコールトムとアンコールワットの間にある小山の上に立つ夕焼け鑑賞で人気のプノン・バケンの遺跡へ上り、ホテルに帰るというルートでした。

朝食後8時半頃ホテルを出発。アンコールワットを右手に見てアンコールトムを南大門から入り、北大門を抜けて周壁の北にあるプリア・カンへ9時10分ごろ到着。


プリア・カンとは「聖なる剣」と言う意味があるそうです。アンコールトムを建てたジャヤバルマン七世が戦勝を記念して建て、王の父の菩提寺になっているそうです。アンコールトムと同じように周壁が巡っていますが、ここは西塔門から入り、中央祠堂を抜けて東塔門に出るのが一般的なようです。

真ん中が少し低い構造になっていて、通路の何か所にある門は頭を下げなければ通れないようになっています。これは王(または神)に対して敬意を払うためだそうです。ここでは仏教とヒンズー教が同居していますが、仏教がヒンズー教に侵略された痕跡が数多く残っています。

2枚の写真では仏像が見事に剥されているのに対し、反対側の壁にはバラモンの僧侶像はきれいに残っているのが分かります。








このヒンズー教にとってかわられた仏教寺院の名残がアンコールのいくつかの寺院で確認できます。

たとえばこの僧侶の壁画はアンコールトムのバイヨンのものですが、もとは仏教の僧侶であったものが、ヒンズー教徒によって足の組み方が膝が立った座り方をするバラモン僧に彫りなおされています。上半身は変更がないのでまるで改宗されたかのようです。



中央祠堂の中央にはもともと観音菩薩像が立っていたそうですが、今ではストゥーパが立っています。







また途中の通路にはリンガの台がいくつか残っています。(リンガとはヒンズー教3神を男根の形で表しているものです。)


中央祠堂を抜けた先に踊り子のテラスがあって、珍しいナーガ(7つ頭の蛇)とその天敵であるインド神話の怪鳥ガルーダが絡み合った欄干がありました。



またこのテラスには踊り子(アプサラ)が数多く彫られていました。
試験に受かった人たちは踊りを楽しみ、落ちた人は落胆している姿が風刺されているそうです。



ここから東第二塔門に向かう途中にアンコールでは珍しい石造りの古代ギリシャ風な2階建ての建物があります。

第二塔門近くの壁は巨大な樹の根に覆われていました。これは午後に行くことになっているタ・プロームを彷彿させました。








東塔門の外壁には巨大なガルーダの像が約30mごとに等間隔で彫られています。迫力満点です。



その先を東に進むと昔の貯水池であったプレ・アカンの湖に突き当たります。乾季には水はなくなるらしいのですが、この時期には広大な湖となって輝いていました。

次に我々が向かったのはこのプレ・アカン湖の中に浮かぶ小島に立つニャック・プアンの遺跡です。車で10分程東に行ったところに橋があり、ここを歩いて遺跡に向かいます。

橋の手前ではお土産を売る人たちが並んでいました。

元は病院として使われたとのことでした。アンコールワットの十字回廊の浴槽と同じように4つの小さな池があり、それぞれの病気の治癒のために使用されたそうです。その4つの小池はそれぞれ象、人、ライオン、馬の頭部で形どられた水門を通して中央の池につながっています。
その中央の池の真ん中に円形の祭壇があり、中央祠堂が建っています。

写真は象の門とその向こうにある中央祠堂です。



乾季に水が無くなるとその中央の池には天を駆ける神馬の像と祭壇に巻き付いている2匹の大蛇が現れますが、水を満々と湛えたこの時期は、馬の頭と絡み合った2匹の大蛇のしっぽが見えるだけでした。
これらの池は更に周りを池で囲まれています。小島が浮かぶ湖もそうですがこの小島の中の池にも沢山の小魚が住んでいました。
写真はこの池に浮かぶ4つばのクローバーに似た水草です。これが本当に4つばのクローバーなら、どれだけの幸せが得られるのかな?


駆け足でニャック・ポアンを見て、次の東メボンの遺跡に向かいました。

東メボンは900年代に建てられた神殿のうちの一つです。東バライの貯水池が作られた後、この池の真ん中に建てられました。今は水が全く無くなっているのでその面影はありません。乾いた赤土の上にピラミッド型の5つの塔がそびえています。
それぞれがヒンズー教の3神を祀っています。シバ神を中央に西にヴィシヌ神とその妻、東にプラフマー神とその妻です。これらの塔の入り口上部(楣ーまぐさと言うらしい)にある壁画はそれぞれ異なっていて、かなり興味深いものでした。
写真の壁画は鵞鳥(または白鳥)に乗るプラフマー神です。





これらの塔の建つ基壇の入り口にはライオンの門番、そして4つの隅には象の像が建っています。これらの象の像は一枚岩から彫り出したもので重さは10トン近くあるそうです。



次に向かったのは東メボンのすぐ南にあるプレ・ループです。名前の由来はプレが神でループが姿だそうです。東メボンが東バライの貯水池の中央に建てられたのに対して、このプレ・ループは約10年後に池の中央南の岸辺に建てられたそうです。様式は殆ど東メボンと同じですが、こちらの方がかなり大きく立派です。塔門から5つの塔の建つ面まで、かなり急な階段を上らなくてはなりません。

その分上からの見晴らしはかなり良くなります。基壇は東メボンは二層でしたがこちらは三層になっているためです。 5つの塔の周りにはたくさんの小祠堂や経堂・倉庫が建っています。
またここでもたくさんのまぐさの壁画が楽しめます。
いくつかのデバターもきれいに残っています。写真はデバターではなく、4つの顔を持つプラフマー神の妻の壁画です。

これで午前中の遺跡巡りが終わり、ランチタイムです。
ランチ以降は次の回に回します。

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