2025年8月2日土曜日

アラスカクルーズ その3ー スカグウェイ (Skagway) とホワイト・パス鉄道

 

White Pass Summit Rail

White Pass Summit Rail (ホワイト・パス鉄道)に関するブログは、寒かったとか雨だったとかいうレポートが多く心配していましたが、何と6月10日と言うのに温かく晴天でした。

朝7時過ぎに起床してカーテンを開けると、船は既にスカグウェイ(Skagway)の港に着岸していました。

すぐ横にプリンセス・クルーズのサファイア・プリンセス号が停泊していました。

右に目を転じると、ロイヤル・プリンセス号とセレブリティ・クルーズのエッジ号が停泊していました。

4隻で約1万人がここに集まっていることになります。この町の人口は千人にもなりません。何とこの町で出会う10人に9人以上は旅行者と言う事になります。


但しゴールドラッシュで沸いた1898年には2万人もいたそうです。

この日の私たちのツアーは12時半出発なので、その前に町を散策することにしました。

ゆっくり朝食を取り、10時半過ぎに下船。

この時間はまだ寒いし、この後標高1,000m近くまで汽車で上るので最大限の防寒ウエアを着用して下船しました。

町は上の写真の奥の方です。

女性陣を美脚に見せるカメラワークで。

スマホを上下さかさまにしてレンズを下にすると、このように足長に写せます。





港と町の概略マップです。

私達の船は左側の紫色のターミナルに係留されています。オレンジに1隻、赤に2隻います。

この3か所の何処からも横に細い線が上に伸びていますが、これは鉄道です。

この港町はこの日の午後乗る予定のホワイト・パス・サミット鉄道で上る山の上で採れた金を船積みするために造られました。

これらの鉄道はその痕跡です。町の中央を上に伸びた太い道路がメイン・ストリートで500m位に渡りお店が立ち並んでいます。

この写真は後ほど、上のマップの上の方から、港(下方)に向かって写したものです。

この通りが一番賑やかなブロードウェイ・ストリートです。ここと写真で見て右に並行しているステート・ストリートが町の繁華街?です。

通りから見える最も大きな建造物はクルーズ船です。

では町に行ってみましょう。

私達の乗っている船を後にします。

写真では見えませんが船の右に駅が有ります。おそらくクルーズ船のツアーだと、この駅で乗降すると思われますが、わたし達は町からバスで少し行った郊外から出発する列車に乗りました。


ターミナルから線路に沿って町に向かいます。

誰だ?線路を歩いているのは?

この線路は廃止された訳ではなく、未だ現役。注意されている人もいました。



金鉱堀りの記念碑の前で。









この辺りはクロンダイク・ゴールドラッシュ国立歴史公園となっています。





こちらは金鉱堀りに使われたロータリー車。






町の中央です。

左端のRED ONION SALONはゴールドラッシュ時の娼館だそうです。



こちらは拡大した写真です。

今はバー&レストランとして営業しています。

ウェイトレスはその当時を思わせる衣装でサービスしています。

時間によっては館内のツアーも有ります。




これが店内です。クルーズの乗客で一杯です。

この他にも興味をそそられる幾つかの建物が有りました。



こちらはRED ONION SALONの向かい側にあるビジターセンターです。




公園の一角に列車が入ってきました。ここで機関車に連結して乗車場に向かう様です。

自分たちが乗りこむ列車かな?と期待が高まってきます。

集合場所がなかなか見つからず、ヤキモキしましたが何とか間に合い、バスで乗車場へ向かいました。


グルっと町中を一周して、ドライバーがこの町を紹介してくれました。

この町には公的機関は一つずつしかないそうです。学校、病院、郵便局、銀行、警察署、消防署等々。

一歩中心部を外れると閑静な住宅地です。


バスが着いたのは駅舎もないただの広場。そこに列車が停まっていました。

ドライバーがチケットを取りに行ってくれました。

彼は私たちの為に最後尾車を取ってくれました。

このグループ20名ほどで1車両貸し切りです。

最後尾にはオープンエリアが有るので列車が曲がるたびに列車全体を見ることが出来ます。

どの客車も最前列にはストーブが有って温かそうでしたが、わたし達は1番後ろの席を確保しました。

結果的には好天に恵まれたので、暖房は必要ありませんでした。

列車内部はこんな感じです。

左の前方にストーブ、右の前方にトイレが有ります。




お茶目なY夫人。ポーズも決まってます。








続々と観光客を乗せたバスがやって来て列車に乗り込みます。

12時55分発車。

5分程でスカグウェイの車両基地を通過しました。



10分後には列車は渓流沿いを進みます。






ここでこの鉄道ツアーの全行程を左の地図でご紹介します。

最下部のスカグウェイの町を出発し、渓谷に沿って上って行きます。

28,4マイル地点が2,888ftつまり880mのWhite Pass, ホワイト・パス(峠)が、米国アラスカとカナダのブリティッシュ・コロンビア間の国境となっています。

そこから更に北上しブリティッシュ・コロンビア州のフレーザー(Fraser)迄行きます。

帰りはバスになるので、チャンスを逃すと二度と見えないことになります。

大きく曲がっているところがシャッターチャンスです。最後尾から先頭の気動車迄見渡せます。




最初の内は林間コースで、周りが樹々で見えたり隠れたりしました。

ここは5.8マイルポイントのDenverで、支流を渡ります。



グングン標高が上がって行きます。

写真の場所ではスカグウェイの町と私たちのクルーズ船を遠望することが出来ました。




出発して約30分後、対岸に車用のアメリカへの入境検査所が見えました。





この頃から空は青空。遠くの白い峰々が輝いて見えました。





前方に16マイル地点の珍しい木製の橋とトンネルが見えてきました。

列車はこの時点では東に向かっていますが数キロメートル先で大きく左に曲がり、西に向かってこの木製の橋を目指します。



いつの間にか単線だった線路が複線になっていました。


と言う事は、と思っていたら案の定下りの列車とのすれ違い場所でした。





ここは14マイル地点のグレーシャー駅です。

駅舎は有りません。






こういう時は最後尾車はとても有利です。

ゆっくり広範囲で写真が撮れます。





列車の写真を撮ているのかと思ったらスケートボードを調整していたようです。

ここで下車したお客でしょうが、ここから滑るためにどこまで歩いて行くのでしょうか。





いよいよコース中最も大きなカーブです。






対岸には急峻な峰峰が見えてきました。

Sawtooth (のこぎりの歯)山脈です。





下の方には次の列車が見え隠れしています。





列車の後方です。かなりの坂を上って来ています。





いよいよ前方に木製の鉄道橋(一般的には木製の架台と言うそうです)が見えてきました。

私が写真を撮っている列車の下は鉄板で補強されていますが、通過するまで不安でした。



これからその木製の架台を渡ります。

使用されている木材はかなり新しいのですが、わたしの不安を打ち消すことには余り役立たなさそうでした。

スカグウェイを出発して丁度1時間くらいでした。




トンネルを抜けると山嶺がさらに近くに見えてきました。

この辺りはInspiration Pointです。

こちらは前出のSawtooth山脈です。

この山々と下の写真の様なスカグウェイ港を見て、昔の人はInspiration(感銘やひらめき)を得たのでしょう。

ここからスカグウェイ港が望めます。

この鉄道はゴールドラッシュ時の鉱石の輸送の為に造られたのですが、ゴールドラッシュ後一時廃線となりました。1988年に再開されたのですが、大きな理由はクルーズ船などによる観光客の増大に伴う一大観光資源として再開されたそうです。今でも毎日1万人近い人が訪れています。

左手に崩れてしまったCantilever橋が見えてきました。18.6マイル地点です。
キャンティレバー(通称キャンティ)と言うのは橋の工法のひとつで、日本語では片持ち梁と呼ばれ、一端が固定され梁やプレートをつないで橋を作る構造です。

水泳の板飛び込みの様な形でたわみを利用して強度を増すそうです。

この構造では輸送力を増大するための重い列車には耐えきれないので、この先に新しいトンネルを掘り、1969年に使用停止になりました。放置されたため、今ではこのように壊れてしまいました。

奥の方に白く輝いている山との対比が妙。


列車はその新しくできた(と言っても1969年ですが)トンネルに向かいます。

写真の先頭車の前にトンネルが有ります。



最後尾で記念写真。

右側も左側も急峻な崖になっています。





やがて両側に 池塘が見え始めました。峠が近づくの感じられます。

今までの上りが噓のように平坦な地形が連なっています。




左手にWhite Passと書かれた看板が見えました。20.4マイル地点です。

ホワイト・パス、つまり白い峠です。

常に雪に覆われているのでしょうね。



右手のアメリカの国旗の横にカナダの国旗が有りました。ここが国境で私たちはカナダに入国したことになります。





更に池塘が多くなります。写真は池塘と言うより、もはや湖です。

遠くの残雪を頂く山々と湖の氷の白、空と湖面の紺碧、山肌の緑と目が洗われる景色が続きます。

私的には今回の旅行中屈指の景観でした。


ホワイト・パスを通過して5分後、今度はDevide (分水嶺)です。ここから先は川の流れが反対になります。

30年ほど前、バンフの近くの大陸分水嶺(The Great Divide)に行ったときに、子供たちが水の未来を変えると太平洋に流れる川の水を、大西洋に流れる川に移し替えていたことを思い出しました。ここは源流が離れているので無理ですが。

この先の景観をもう少しご紹介します。






列車の赤が目立ちます。






後ろの景色です。






全てお見せできないのが残念ですが、このような景色が終点まで続きます。





私達が乗っている列車の前方部分です。





こちらは反対側での撮影です。






前方に大きな湖が見えてきました。

Lake Barnard (バーナード湖)です。

終点のFraser (フレイザー)に到着です。先ず車内でパスポートのチェックが有ります。それが終了したのち下車しました。



スカグウェイから27.7マイル地点です。

ここからは待機していたバスに乗り換えスカグウェイに戻ります。




これで列車とはお別れです。

約2時間の旅でした。

その前にトイレ休憩。車内にトイレは有ったのですが、用を足さなかった人たちでトイレは満員状態でした。



女性のドライバーでしたが、かなり飛ばしました。

列車のように動き回ることはできないので、単なるドライブと言う感じ。

車窓をかなりの勢いで山々が流れて行きます。


恐らくこの山裾を列車は登って行ったのでしょうが、全く見覚えのない山々でした。





途中2か所で停車。一か所目は渓谷を見下ろすポイント。

運が良ければこのような動物を見かけることも有るそうです。




このポイントからの眺めです。






もう一か所はこの滝です。

降りて見るほどでは無かったかも。







停車時に写した車のナンバープレート。

ユーコンのナンバープレートには工夫が金を持っている絵が描かれています。





やっと対岸に線路が見えてきました。

列車では右下から左に山肌を上って行きました。

奥の方へ進み大きなU字コーナーを回って谷の反対側に出ます。

左の山肌の禿げた所の先が木製の架台です。


こちらが前出のSawtooth山脈です。

本当にのこぎりの歯ですね。





アメリカへの通関です。

列車から見えていた青い屋根の建物です。

乗客は乗って待つだけです。




フレイザーを出発して50分で山を下り切りました。





10分で集合場所に到着後解散しました。

まだ午後4時前なので町を散策しても良かったのですが、全員船に戻りました。




この日は午後7時30分の出港です。

この夜の夕食のメインはアラスカサーモンとステーキを妻とシェアしました。




食後、部屋のベランダから見た夕景です。

ゆっくりとフェイボライト海峡を南下していました。

午後10時過ぎなのにまだ明るい。



30分後の午後10時半に通過したエルドレッド・ロック灯台です。海峡の真ん中にある小さな岩場にポツンと立っています。

この頃は少し暗くなっていて灯台も点灯しています。その分光量が足りず焦点が有っていませんが。

翌日は今回のクルーズの主目的で、世界遺産の一部であるグレーシャー国立公園内のクルージングです。その様子は次回お届けします。

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